新司法試験(短答式試験)の結果公表。

 本日,今年度の新司法試験の短答式試験の結果が公表されました。それによれば,採点対象者数は8721人で,去年は確か8090人でしたので,微増しました。それにもかかわらず,合格者は5654人で,去年より少しだけ減ったようですから,短答式試験の競争はやや激化した模様です。また,個人的に目を引いたのは科目別の足切り人数で,公法系は391人,民事系は153人,刑事系は702人でした。これらは全体として去年よりもかなり増えていますが,知人等から聞くところによれば,行政法刑事訴訟法がかなり難しくなったということで,それがそのまま影響したのであろうと思われます。ですが,厳しい見方をすれば,合格に必要な得点は210点で,努力だけで到達できるラインであろうと思いますので,決して難しい数字ではないでしょう。委員会当局が,短答式試験に通過できないのは土俵に乗せるに値しないレベルだと考えているとしても,それはおそらく当然でしょう。
 いずれにせよ,問題は,論文式試験の点数に絞られます。短答式試験の点数が合否に多少影響を及ぼすとしても,その程度は限定的なものですから,論文式試験の点数がいずれ公表される合格レベルをスレスレで超えていたのに,短答式試験の点数が合格者平均を下回る結果,最終合格を果たせないとしても,それは,短答式試験の点数ではなく,論文式試験の点数に問題があるというべきでしょう(少なくとも,受験生としてはそのように考えた方が合格率を高める上で遥かに効率的です。)。
 ですが,論文式試験の点数は,蓋を開けてみないと分からないところがあり,それは「考える力」を審査するという試験の性質上やむを得ないところでしょう。そのため,受験生の方々は,(去年の私がそうであったように,)心の片隅に常に不安を抱えながら何か月も過ごされることになってしまいますが,それ以上に,平日も含めて時間を自由に使える期間は今だけですから,その素晴らしさを存分に享受されたいところです。
 誰に見せるというものでもありませんが,そのうち,今年の問題を解いてみようかなあ,などと思っています。いかに自分の力量が劣化したかを思い知ることになるのは日の目を見るよりも明らかなのですが。